業務のデジタル化~Vol1(保育事業の場合)

元CE(カスタマーエンジニア)が社労士業務を行う中で感じたことを徒然なるままに書き綴ります・・・

前回までは、総務業務に焦点を当てて書きましたが、業種別に書いていこうと思います。

働き方改革を推進するための、課題解決方法や事例を紹介できればと思っています!
まずは、保育園(保育士)について

『前回までの記事はこちらからどうぞ』デジタル化が進まない理由・・・

保育士は慢性的に不足している状態です。
厚生労働省が2020年8月に発表したデータによると、常勤で働く保育士の離職率は9.3%。私営保育所にいたっては、10.7%と高い数値になっています。
退職した理由の上位に、仕事量が多い27.7%、労働時間が長い24.9%、となっています。


厚生労働省から引用。クリックすると厚生労働省のサイトに移動します。

仕事量が多く、労働時間が長い原因の一つに、紙が多いことがあげられます。

早番、遅番のシフトの確認や作成は、『紙』
職員の出勤簿の作成は、『紙』
お給料明細も『紙』
保護者さんへ渡す連絡帳、お知らせも『紙』
工作物はもちろん『紙』

手作業による事務作業が多いことで、時間外労働が多くなります。

園児に関わる時間を削減することはできないので、時間外労働削減のためには、『手作業による事務作業の削減』が必要です。

働き方改革の取組の一環として、業務効率化のためにDX推進したい!!!

どこから手をつければいいのか???
昔からずーっと同じ方法で仕事をしてきたから、どこをどう変えればいいのか・・・悩んでいらっしゃる保育園の方に見ていただきたいです。

ICTの導入をすすめましょう

手で行う事務作業の部分を減らすことで、保育士さんの負担が減り、必ず時間外労働削減につながります。

取り掛かりやすいのは、園として使う、保育園向けのICTツールの導入ですね。ICTとは、ITを使って人々の暮らしを豊かにするためにどうしていくのかという活用方法のことです。
様々なツールがありますが、主に

  • 子供の入退室時間の管理
  • 連絡帳
  • お知らせ配信
  • 職員の出退勤管理
  • 子供の健康管理

等の機能があります。

保護者へのお知らせをパソコンで作成して、印刷して、チェックして、人数分印刷して、クラスごとに分けて、保護者に手渡す

という作業が
保護者のみなさんにアプリを入れてもらえれば、


保護者へのお知らせをパソコンで作成して、保護者にスマホのアプリを通して公開する

1日10分でも時間が短縮できれば、1週間で1時間の短縮になりますよね。

システムを活用できれば、園児の個人情報や日々の記録の管理や共有もスムーズに行うことが出来ます。

ツールを使いこなすためには、業務内容を正確に把握することが重要です。
ついでにスキルマップを作成し人事評価に結び付けるのもいいですね。
「誰が、どんな仕事を、どのように行っているのか」把握することで業務の効率化実現できます。

同一労働同一賃金にも対応する必要があります

DX推進をやりつつ、働き方改革を進めるには、同一労働同一賃金を実現したうえで時間外労働の削減や年次有給休暇の5日取得義務もクリアできるように取り組みましょう。

そのためにも、適切な労務管理が必要になります。
手書きでのシフト表とハンコを押すだけの勤務表をやめて、管理ツールを導入するこで有給休暇の適切な管理ができ、5日取得義務をクリアできるようになります。

次回は、不動産業界について取り上げます!!!

ITツールの導入に使える助成金のご紹介も可能です。労務関係のツールでしたらご提案から設定、運用サポートも可能です。

お気軽にお問い合わせください。

最後に用語解説

  • ICT・・・インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー のことです。情報通信技術のことを言います。インターネット通販やコミュニケーションツールもICTの活用事例です。ICTとは、ITを使って人々の暮らしを豊かにするためにどうしていくのかという活用方法のことです。
  • 同一労働同一賃金・・・簡単に言うと正社員とパートさんが同じ仕事をしているんだったら、お給料は同じだよね。ということです。正社員には通勤手当が出てパートさんには出ないなど、不合理な待遇差の改善を目指すものです。
  • 5日取得義務・・・2019年4月に労働基準法が改正されました。法定で年次有給休暇が10日以上付与される労働者には、毎年確実に5日の年次有給休暇を取らせる必要があります。